不動産を売却したら確定申告が必要!必要な書類や特別控除も解説
自分が所有している不動産を売却する場合、確定申告が必要かどうか気になるところです。不動産を売却する時に確定申告が必要なケースにはどのような場合があるのかを見ていきながら、申告期限や必要な書類などを紹介していきます。また、売却時にかかる税金を安くするための特別控除に関しても解説していきますので、参考にしてください。
確定申告が必要なケースと不要なケースがある
不動産売却はあまり何度も経験する人は少ないため、初めてという方も多いでしょう。転勤や子どもの進学による住宅の買い替えや、親族からの土地や建物の相続によって不動産売却を考える人が出てきますが、その際に確定申告が必要なケースと不要なケースがあります。
不動産を売却する際に、購入額が売却額より多い場合は利益が発生するために所得税が必要となるのですが、これを譲渡所得税と呼びます。この譲渡所得税が発生した場合に確定申告が必要で、発生しなければ確定申告は必要ありません。
ちなみに譲渡所得とは、不動産をはじめとする有価証券を売却したときの所得でのことで、売却した金額から購入原価や売却費用、税法上の特別控除などを引いた利益のことをいいます。ただし、譲渡所得の特別控除を受ける場合は、譲渡所得がなくても確定申告書を期限内に提出する必要があるため、確定申告が必要となってきます。
申告期限と必要書類
確定申告の期限は、一般的に不動産売却時に譲渡所得を得た年の翌年の3月15日が申告期限となります。ただし、新型コロナウイルスの影響など、特別な事情により期限が延長される場合もあるため、申告期限に関しては、随時チェックが必要です。
また、不動産売却による確定申告をするには、不動産の譲渡所得の収入金額が必要となってきますが、それにはいくつか書類を用意しなければいけません。どのような書類が必要なのか、紹介していきます。
売却時の売買契約書
不動産の売却時に、取引先の氏名や不動産の所在地や面積、売買金額、支払い条件、契約日、引き渡し日などが記載された売買契約書を作成します。契約書の内容をもとに譲渡所得の計算が行われるために必要です。さらに、購入時の契約書があればその後の作業がスムーズとなるため、売却時まで保管しておきましょう。
固定資産税などが記載された清算書
契約書のほかにも不動産売買時には、固定資産税を含めたさまざまな清算内容の清算書が作成され、受取金額が決定する場合があります。固定資産税は売買金額に加算して譲渡所得の計算が必要で、そのほかにも清算書に記載される費用には、譲渡所得の計算で差し引く必要があるものも含まれているため、確認が必要です。
売却時にかかった経費の領収書
譲渡所得は、不動産売買契約書に必要な収入印紙代や仲介手数料、解体費用など、売却時にかかった費用を控除することができるため、必ず経費の領収書を受け取って保管しておきましょう。
売却する不動産の取得費
売却を予定している不動産購入時の取得費も控除が可能となっています。取得費の計算には購入時の売買契約書や、領収書などを参考に計算していきます。ただし、相続などにより取得時の購入金額が不明の場合は、売却金額の5%を取得費とするなど代替の対応が認められています。
特別控除も積極的に活用しよう
譲渡所得の金額に関しては、これまで説明したように不動産の売却金額から譲渡費用と取得費を差し引いた金額で計算されますが、所得税法上の適用がある場合に、特別控除を引いて計算することが可能なので、積極的に活用したいところです。どのような特別控除があるのか紹介していきます。
3,000万円特別控除特例
居住用の不動産を売却した場合は、所有期間に関係なく最大3,000万円の特別控除が可能で、売却利益の最高3,000万円分が非課税となります。この特例では、親子や夫婦内での売却や、別荘や仮住まいなどの一次的な目的の家屋など適用外の場合もあるため、適用条件は必ず確認しておきましょう。
10年超所有軽減税率特例
売却する土地や住宅の所有期間が10年以上で、諸条件を満たしていれば所得税と住民税が安くなるという特例です。通常は、長期譲渡所得には約20%の税率がかかりますが、特例を利用することで約14%に課税率が軽減されることになります。こちらは3,000万円特別控除と併用が可能です。
定居住用財産の買い換え特例
自宅を買い換える場合の特例で、売却額よりも高い住宅を購入した場合に、売却時に発生した譲渡所得税を次回の買い換えの時までに繰り延べることができる特例です。このほかにもいくつか特別控除があるので、不動産売却後に確定申告をする場合は、チェックしておきましょう。
まとめ
不動産を売却するときには、基本的には翌年は確定申告をした方がいいのはお分かりいただけたでしょうか。譲渡所得が発生した場合には確定申告は必要ですが、発生しない場合は必ずしも必要ではありません。ただし、特別控除を受けることができて節税ができるために、確定申告をした方がいいでしょう。確定申告には期限や必要書類の用意が必要となるため、あらかじめ準備をしておきましょう。
