
不動産の売却方法は、主に二通りあるのをご存知でしょうか? それは「買取」と「仲介」です。どの方法も、不動産に相談するのは変わりありませんが、売却方法と流れに、大きな違いが見られます。
これらの方法の違いを、メリットとデメリットで比較して、特徴を確認してみましょう。
買取のメリット
まず、買取のメリットは、次のような特徴になっています。
短期間の売却が可能
仲介は買い手を見つけるまで、時間を要さなければなりません。買取は、その期間が圧倒的に短く、数週間もあれば売却完了となります。スピード重視で売却したい方にとって、大きなメリットとなるでしょう。
仲介手数料が発生しない
買取は、不動産会社へ直に売却をするため、仲介手数料というものはありません。仲介手数料は、取引額によって金額が変わりますが、基本的に数十万円を超えることがほとんどなので、経済的な負担を和らげることができるでしょう。
広告不要で内覧の手間が省ける
仲介は購入希望者を募るため、内覧を行うこととなり、買主が見つかるまでは、内覧に手間と時間を割かなければなりません。しかし買取の場合の内覧は、不動産業者によって一度だけ行われたら終わりなので、複数回の手間を省くことができるでしょう。
また、買主募集のための広告を出す必要もありません。不動産の売却を他人に知られたくない方にとっても、広告を出さないことは都合がいいとも言えます。
契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)を負わなくてもいい
仲介では、物件に何らかの欠陥があった場合、売主は修復の義務を果たさなければならず、これを「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」と言います。しかし買取では、この責任を負う必要がないため、売却後のトラブルの心配をせずに済むでしょう。
買取のデメリット
もちろん、メリットだけでなく、デメリットも把握しておかなければならないので、買取を選ぶ際には、次の特徴に注意しましょう。
売却価格が相場より安い
買取のもっとも大きなデメリットは、仲介よりも売却価格が安くなってしまう確率が高いことです。一般的に、仲介による売却の相場の、7~8割程度が目安となっています。
ただしメリットでも触れましたが、買取には仲介手数料が発生しません。そのため不動産業者は、物件の買取後、その物件をさらに高く売却して、より多くの利益を求めることとなります。
そのためには、リフォームや増改築を行うことで、付加価値をより高め、広告も出さなければなりません。そういった手間や費用を考慮すると、買取の売却額が仲介以下となってしまうのも、仕方ないと言えるでしょう。
買取業者が見つかりにくい
また、買取業者を探し出すのが難しいのも、デメリットのひとつでしょう。特にマンションの場合だと、条件に「新耐震基準、専有面積40㎡以上」といった項目を設定しているケースも多く、特に大手の不動産会社が、その傾向にあります。
仲介のメリット
では次に、仲介の場合どんなメリットがあるのか、特徴を見てみましょう。
適正価格が分かる
不動産会社は、周辺の物件や相場について詳しいため、どのような物件が、どれくらいの価格で売れるのかを理解しています。たとえば売主に対して、必要なリフォームや、売れそうな値段の設定などをアドバイスしたり、買主に対しては、希望条件の妥協点の提案などをしています。
集客によって物件が広く知れ渡る
不動産会社は、売主の希望額に基づいて、独自のネットワークや広告を駆使して買主を募るため、買取よりも高い値段がつきやすいというのもメリットでしょう。不動産会社を通した媒介契約次第では、情報を限定的に出すことで、売却することもできます。
手続きや書類作成を仲介業者側で行ってくれる
不動産の売買には、さまざまな手続きや書類作成を行う必要があり、相応の知識がなければ、どこかでミスをしてしまう懸念があります。しかし不動産会社に仲介してもらうことで、その手間が一気に省けるため、いろいろな心配を抱えずに済むでしょう。
仲介のデメリット
もちろん、仲介にしてもいいことばかりでもありません。不動産会社に仲介してもらうのであれば、デメリットの特徴も把握しておくようにしましょう。
仲介手数料を支払う必要がある
不動産会社と媒介契約を交わすと、不動産会社は売買を成功させるために、営業活動を行わなければなりません。たとえば、不動産情報サイトに物件情報の広告を載せたり、新聞折り込み広告で、募集を呼びかけたり、チラシのポスティングや、買取検討者の物件見学に立ち会うといった活動を行っていきます。
この活動に対して、「成功報酬」という形で不動産会社に報酬を支払う必要がありますが、もちろん、売買契約成立に至らなければ、仲介手数料を支払う必要はありません。
複数の業者に依頼できない
契約内容にもよりますが、仲介依頼をすると、1社にしか委託できなくなることもあります。これは、専属媒介契約や専属専任媒介契約を結ぶケースに該当します。この契約は、ほかの業者を介したり、個人での売買交渉も行えなくなってしまうので、契約には慎重にならなければなりません。
契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)を負わなくてはいけない
仲介をしてもらう場合、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)が発生することも考えられます。たとえば、引き渡しから一定の期間に、水漏れなどのトラブルが発生してしまうと、売主側が契約不適合責任を負うこととなり、売主の費用負担で修理しなければなりません。
ほかには、雨漏りやシロアリ、木の素材部分の腐食、給排水設備の故障といったトラブルが起これば、瑕疵担保責任を負うこととなるでしょう。
ニーズに合った売却方法を選ぶのが重要
媒介契約の方法を選ぶ基準としては、売却先の目処が立っているかどうか、売却価格に希望があるか、売却する時期をいつ頃にしたいかによります。
なお、仲介には、主に3種類の方法があります。仲介方法によっては、不動産流通機構(レインズ)への物件登録をする必要があることも留意しておきましょう。
不動産流通機構・REINS(レインズ)とは
REINS(レインズ)とは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理する不動産流通標準情報システムのことで、日本各地の物件情報をはじめ、取引情報を一元管理しています。そして不動産会社は、インターネットを通して、全国の物件情報をリサーチし、紹介できるようになります。
このレインズは、不動産会社・売主・買主の3者にとってメリットがあり、不動産会社にとっては他社の物件も多く買主に紹介できますし、媒介契約のチャンスに繋がるでしょう。そのため、買取検討者の目に届きやすくなるため、売主にとっても早めに売却できるチャンスに繋がります。
一般媒介契約
時間がかかっても、自分が納得できる価格で買い取ってもらいたい場合は、「一般媒介契約」という手段を選ぶといいでしょう。これは複数社と契約ができ、買主の当てがあれば、仲介料を支払わずに済みます。
ただし、依頼されるのが自分たちだけではないので、売却活動の優先順位があまり高くないこともあるので注意しなければなりません。また、レインズへの物件登録があるかは、ケースバイケースとなります。
専属媒介契約
早く・確実に買主を探し出したい場合は、「専属媒介契約」がおすすめです。なお、自分で買主を探した場合は、仲介手数料が発生しません。ただし、仲介会社との契約が1社のみになることには注意しましょう。
なお、レインズへの登録は、媒介契約締結日の翌日から、7営業日以内に行われます。
専属専任媒介契約
「専属専任媒介契約」では、自分で買主を探すことはできませんが、手厚いサポートで積極的に取り組みが行われるでしょう。こちらも専属媒介契約同様に、仲介会社との契約が1社のみとなっています。
レインズの登録は、媒介契約締結日の翌日から、5営業日以内に行われるでしょう。
不動産売却を、買取・仲介のどちらにするか、決められそうでしょうか? また、仲介を選ぶにしても、契約方法が3パターン用意されているので、悩みどころではありますが、売却したい不動産に、どれだけ確実さと期日を求めているか、情報を整理して不動産会社に相談するといいでしょう。
ポン【不動産売却とは?買取・仲介の特徴やメリット・デメリットも確認のまとめ】
価格とスピードのどちらが重要かが選ぶポイントとなる